医療レーザー脱毛とは

今回は、医療レーザー脱毛の仕組みについて、体毛の構造を取り上げた上で、原理的なメカニズムを説明します。

体毛の構造

人間の体毛は約500万本あり、そのうち外に出ている(目に見えている)毛は130~140万本あると言われています。体毛は、毛穴から出ている部分(毛幹)と、毛穴の下にある部分(毛根)に分かれます。

いわゆる髪の毛やムダ毛と言われる部分は毛幹であり、毛穴の下つまり皮膚の中にもぐっている部分が毛根です。皮膚の内部では、毛根を筒状に(さやのように)包んでいる毛包があり、毛包の皮膚表面から見える部分が毛穴と呼ばれています。

毛包と毛根は区別しにくい言葉ですが、「毛包」という場合は、毛の生成だけでなく、皮膚呼吸、皮脂の分泌、汗の発散などの役割を持った皮膚付属器官を指す言葉であり、「毛根」という場合は、皮膚の中にある体毛の組織すべてを指す言葉です。

毛根の最下部、つまり体毛の最も根っこの部分は毛球と呼ばれ、球状に膨らんでいます。ここには、毛乳頭が集中しています。

毛乳頭は、体の中を網目状に張り巡らされている毛細血管とつながっています。毛乳頭は、毛細血管から送り込まれた栄養分を毛母細胞に受け渡し、体毛の生成を促す役割を持っています。

毛母細胞は、体毛のもととなる細胞です。毛乳頭から促されることによって、毛母細胞が細胞分裂を行い、これが体毛となって成長していきます。毛乳頭も毛母細胞も、毛根を構成する部分であり、体毛を生成する組織といえます。

その一方、体毛には成長期→退行期(移行期)→休止期という成長サイクル(毛周期)があります。1本1本すべての体毛は異なる毛周期を迎えているため、脱毛はどんな方法でも1回の施術で完了しないことが一般的です(詳しくは後述します)。

医療レーザー脱毛の仕組み

医療レーザー脱毛とは、一定の波長の光(レーザー)を脱毛部位に照射することで、体毛に熱エネルギーを発生させ、毛乳頭や毛母細胞など毛を生成する毛根の組織ごと破壊する仕組みです。

レーザーは、波長ごとに特定の色や物質に反応します。その一方、大半の体毛は黒いメラニン色素を含んでおり、これに特定の波長のレーザーを照射すると熱を吸収し、溜め込んだ熱エネルギーが毛母細胞や毛乳頭を破壊する効果に及びます。

このように、レーザーが特定の色や物質に反応する仕組みを応用した治療を、選択的光熱治療といいます。なお、黒い色であれば皮膚にも反応するため、レーザー脱毛を受ける場合、日焼けは避けたほうが良いと思います。

日焼けに限らず、お肌の色素沈着が濃い部分は、皮膚もレーザーに反応するため、痛みや炎症、ヤケドなどの可能性が高くなります。これとは逆に、白髪や産毛など、黒いメラニン色素がほとんど無い体毛には、レーザー脱毛の効果は高くありません。

ただし、近年はレーザー脱毛を行う照射器の研究開発が進んでおり、痛みを抑えた機種や、産毛にも高い効果を示す機種が登場しています。

なお、先述通り、すべての体毛は異なる毛周期(成長サイクル)を持っている一方、レーザー脱毛の効果があるのは、毛乳頭や毛母細胞の活動が活発なだけにダメージも与えやすい成長期の毛だけです。

このため、1回目の施術時に成長期では無かった体毛は、その後活発に成長していきます。また、毛周期の考慮に加え、頻繁な照射は肌への負担も大きいため、1ヶ月半~2ヶ月半の間隔をあけて、複数回に渡る施術を経て脱毛が完了することが一般的です。

医療レーザー脱毛の意義

医療レーザー脱毛は、医療機関(クリニック)だけが実施できる医療行為です(医療脱毛)。いわゆる永久脱毛を、医療機関では無いエステサロンなどが行うことは、法律上禁止されています(詳しくは医療脱毛とはで説明しています)。

エステサロンが行う光脱毛(フラッシュ脱毛)や、家庭用の光脱毛器は、光を照射して体毛に熱を発生させるという仕組み自体、医療レーザー脱毛と同じです。ただし、法律で禁止された医療行為に該当しないよう、照射出力を抑えています。

このため、医療機関以外の光脱毛は、体毛の目に見える部分を除去したり、毛根の活動を低下させる程度の効果にとどまります。毛乳頭や毛母細胞など体毛を作る組織の破壊にまで至らず、根本的な解決法とはなりえません。

1回の施術で完了しないのは医療レーザー脱毛もその他の方法も同じです。医療レーザー脱毛なら部位にもよりますが、1~2年で1ヶ月半~2ヶ月半おきに、5~8回の施術を受けることで脱毛が完了します。

その一方、医療脱毛と同じ効果を得ようとするなら、エステ脱毛は2年以上、あるいは、15回以上受ける場合が珍しくありません。そのうえ、体毛を生成する組織を確実に破壊できるのは、医療脱毛だけです。

さらに、施術中の我慢できない痛みに対して麻酔をお願いしたり、施術後何日たっても痛み・赤みや炎症が引かない、あるいは、ヤケドができたといった肌トラブルに対して、医師の診察や医薬品(軟膏、内服薬)の処方が受けられるのも、医療脱毛だけです。

当然ながら、麻酔措置、医師の診察、医薬品の処方は、すべて医療行為です。医療行為は医療機関しか出来ませんから、肌トラブルの発生時に安心できるのは医療脱毛といえます。

医療レーザー脱毛はとても安全性が高く、万が一の肌トラブルにも十分なケアが受けられます。体毛を生成する組織ごと破壊する仕組みを持ち、確実な脱毛効果の永続性も高く、ほとんどの部位に対応できる脱毛方法といえます。