上腕とワキの脱毛

今回は上腕とワキの脱毛を取り上げます。特に、上腕については、毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)が見られる方のケースも説明します。また、ワキ脱毛が汗の量やワキガに影響するのかどうかについても説明します。

上腕の脱毛

上腕の脱毛は、ひじから上~肩までの範囲です。上腕の場合、内側はほとんど毛の無い方が多く見られます。上腕の内側は肌が薄い部分でもあり、無理に照射することは強い痛みが生じます。上腕の内側は、本人と相談して施術を行わない場合が一般的です。

上腕の範囲ですが、上腕に脇は含めない医療機関(クリニック)が多いと思います。その一方、肩は上腕に含めるところが多いと思います。もちろん、これはクリニックによって異なるため、各自で確認しておきましょう。

一般的に上腕は、施術中の痛みはさほど感じないところだといえます。平均的な施術時間は30分程度だといえます。もちろん、なかには強く痛みを感じる方もいれば、施術時間にも個人差があります。

また、上腕は産毛が多く、施術によってかえって増毛化・硬毛化の可能性が高い部位です。脱毛によってどうして逆に増毛化・硬毛化することがあるのか、その原因はわかっておらず、科学的に解明されていません。

ただ、脱毛による増毛化・硬毛化はそう多く頻発するわけではありません。増毛化・硬毛化は、医療脱毛だけでなく、エステサロンの脱毛(光脱毛、フラッシュ脱毛など)でも起こりうる現象です。

また、増毛化・硬毛化した毛に施術を行うと、他の体毛と同様の脱毛効果が得られます。このため医療機関(クリニック)によっては、保証期間内なら、脱毛に伴って増毛化・硬毛化した場合に追加料金無しで追加照射を受けることができるところもあります。

なお、産毛は色素が薄く、脱毛効果が出にくい毛です。このため、ヤケドのリスクも考慮しつつ、通常よりもレーザーのパワー(照射出力)を高めに設定することが一般的です。もちろん、毛の状態や本人の様子を見ながら調整していきます。

毛孔性苔癬と脱毛

ところで上腕には、毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)または毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)と呼ばれる症状を持った方もおられます。これは、上腕に紅褐色(または無色)のブツブツとした盛り上がりが出来る角質異常です。

毛孔性苔癬の原因は遺伝と考えられており、毛孔性苔癬は遺伝性皮膚疾患という見方が一般的です。子どものころに発症し、思春期に増加する傾向が見られる皮膚病のひとつです。

毛孔性苔癬は、毛孔一致性の疾患です。つまり、1つ1つの毛穴ごとに発生する病気です。毛穴ごとに充満した角質が隆起し、それぞれ盛り上がった部分がブツブツと見える状態になります。また、ザラザラとした触感を感じることもあります。

毛孔性苔癬はとてもよく見られる症状であり、痒みや痛みを感じることは非常に稀です。毛穴が詰まったような状態になり、生えてくる行き場を失った体毛を皮膚の表面から見える場合もあります。

この病気は、自覚症状がほとんど無く、健康上重大な問題になることもありません。子どもや思春期で発症する方が多い一方、20代~30代で自然に治癒する方が多く見られます。毛孔性苔癬自体は、治療を受けなくても問題が無い疾患です。

ただし、医療脱毛を受ける場合、毛孔性苔癬が見られる箇所は要注意です。毛孔性苔癬は紅褐色など色を帯びることが多い一方、医療レーザー脱毛は色素がレーザーの熱に反応する仕組みを利用した脱毛法です。

毛孔性苔癬のある部位に医療レーザー脱毛を行うと、毛孔性苔癬の色加減がある場所にも熱が吸収され、ヤケドを引き起こすリスクが高まります。毛孔性苔癬の治療を考えている方は、医療脱毛の前に毛孔性苔癬を治しておくことをおすすめします。

先述通り、毛孔性苔癬はそれ自体に重大な問題は無く、放置しても構わない症状です。ただし、医療脱毛を受ける場合は、肌トラブルの危険性を考慮して、あらかじめ治療を受けることをおすすめします。

医療脱毛を行う医療機関(クリニック)では、毛孔性苔癬の治療まで行うところは無いと思います。こうした症状をお持ちの方は、あらかじめ毛孔性苔癬の治療が受けられる病院・診療所を確認しておきましょう。

ワキの脱毛

ワキの脱毛というと、以前は女性が行うイメージが強かったのですが、近年は男性が脱毛を受けることも普通に一般化しています。特に肌の露出が目立つ夏場では、非常に人気が高い部位といえます。

ここはやや強い痛みを感じやすい部位ですが、照射範囲が広いわけでは無いため、照射時間は15分程度が平均的なラインといえます。

また、これはワキの脱毛に限ったことではありませんが、初回の施術前には剃らずに来院して毛の様子を確認したいというクリニックもあると思います。その一方、施術前には剃毛してくださいという医療機関が多く見られます。

(医療レーザー脱毛で毛抜きがどうしてダメなのかについては、医療レーザー脱毛に日焼けと毛抜きはNGで説明しています)

この部位で痛みを感じやすいのは、ワキの毛は比較的しっかりとした毛が多いことが理由に挙げられます。こうした毛で脱毛効果を高めようとすると、レーザーの出力を高める必要があります。

太くて濃いワキの毛を脱毛しようとすると、強い痛みを感じやすくなります。特にワキの場合は、周辺部よりワキの中心に近いほどその傾向があります。クリニックによっては、十分に冷却を行いながら施術を進めてくれます。

その一方、ワキ脱毛では、完全なツルツルというよりは、より自然な感じで毛の量を減らしたいという方もおられます。医療脱毛は1回の照射で完全に抜け落ちるためでは無いこともあり、クリニックによっては本人の希望に応じて柔軟に対応してくれるところもあります。

5回で完了する医療レーザー脱毛のコースでは、だいたい2~3回の施術でワキ毛の全体量を減らすことができます。そのあとは、一度体毛を伸ばして自分で毛の量を確認しながら施術を受けることが出来るクリニックもあります。

こうした対応は、コースの有効期限が長いほど柔軟に対応しやすくなりますし、特に有効期限が無期限というクリニックもあります。自分がどの程度の脱毛を希望するのかについても、カウンセリングの時点で相談してみましょう。

医療脱毛はワキの汗の量やワキガに影響する?

ところで、「ワキの脱毛をしたらワキガが治る」、あるいは真逆ですが、「ワキの脱毛をしたらワキガが生じる(ひどくなる)」「ワキの汗の量が増える」などと言われることがあります。しかし、これらは全く科学的な根拠が無い俗説に過ぎません。

そもそも人間の汗は、汗腺と呼ばれる部分から分泌される液体です。汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺という2種類があり、エクリン腺は全身、アポクリン腺はワキの下、女性器の周辺、乳首の周辺などに存在しています。

その一方、体毛のもととなる毛母細胞や、毛母細胞の細胞分裂を促す毛乳頭は、毛根に存在します。医療脱毛は、これら体毛を生成する組織ごと破壊する仕組みであり、汗を分泌する汗腺に影響をおよぼすことは考えにくいとされています。

エクリン腺もアポクリン腺も、体毛が出来る毛根とは別の組織です。医療脱毛によって毛根まで脱毛効果が波及しても、汗やワキガに影響があるとは考えられません。

基本的に医療脱毛は、ワキの汗の量やワキガには、なんら影響がありません。ただし、これまで脇毛に付着していた汗が、脱毛によって皮膚に付着するようになり、見た目は汗が増えたように感じるということはあるかと思います。

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